DBT(弁証法的行動療法)とは?| 吉沢六花 -ブレイクスルーをデザインする心理コンサルティング –

DBT(弁証論的行動療法)とは?

 メンタルヘルス分野で、パーソナリティー障害への精神療法として注目されてきたDBT(弁証論的行動療法)。
 あくまで、ひとりのユーザーの個人の経験談と感想の域を出ませんが、DBTについて、今一度、まとめてみました。

そもそもDBT(弁証論的行動療法)とは?

弁証法的行動療法(べんしょうほうてきこうどうりょうほう、Dialectical Behavior Therapy, DBT)とは、アメリカの心理学者マーシャ・リネハンが開発した認知行動療法の一種である。境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療に特化しており、アメリカ精神医学会は境界性パーソナリティ障害の精神療法として推奨している。また同疾患において数少ないエビデンスの確認されている精神療法でもある。

弁証法的行動療法(DBT)とは – Wikipedia抜粋 –

DBT(弁証論的行動療法)とは?

 DBTは、英語でDialectical Behavior Therapyの頭文字を取ったもので、「ディービーティー」と読みます。

 日本語では、弁証法的行動療法と呼ばれます。
行動療法の一種ですが、次の項目を含みます。

  • マインドフルネス・スキル
  • 対人関係保持スキル
  • 感情抑制スキル
  • 苦悩耐性スキル

次の方法を組み合わせて行います。

  • 個人精神療法
  • グループでのスキルトレーニング
  • 電話での相談受付
  • コンサルテーションミーティング

DBT(弁証論的行動療法)|まとめ

 感情のアップダウンが激しすぎたり衝動的だったことで、自分を傷つけてしまったり、体調を崩しやすいボーダーラインパーソナリティ障害を中心に、依存症等であっても、自分の感情が自分自身を圧倒するようなパワーバランスが逆転している状況を変えるためにできることを、毎日の生活を題材にして、考え、学び、練習することができるのがDBT(弁証論的行動療法)の強みと言えるでしょう。

DBT(弁証論的行動療法)はどう発展してきたの?

 ところで、DBTは、いつ頃からどのように発展してきたのでしょうか。あらためて、確認してみましょう。

DBT(弁証論的行動療法)|世界の歴史

 DBT(弁証法的行動療法)の開発者である臨床心理学者のマーシャ・リネハンは、自身が境界性パーソナリティ障害(以下BPD)に罹患した経験を持っています。

 リネハンは当初、BPDの患者に対し行動療法を行っていましたが、問題行動や、治療の中断が起こるなど、BPDという疾患特有の問題により、なかなか思うように治療が進みませんでした。

 そこで、広く書物を読み漁って、東洋の思想も取り入れ、実践しながら技法を修正していき、DBT(弁証法的行動療法)を完成させました。

 

 BPD(ボーダーラインパーソナリティ障害)の治療は長期化することが多いですが、治療を進めていくうちに、当事者も家族やサポーター側も人間なので、コンディションや感情、関係性そのもの、パワーバランス等、関わっているグループの輪そのもの、全体が揺れることがあります。

 その中で、DBTでは、治療をするという目的のために、それぞれの役割を果たし、それぞれの立場を守りながら、適切な距離感でのパートナーシップの結び方を考え協働していくことに、焦点を当てています。

 DBTの中で治療関係が終了しても、当事者は社会に戻れば、同じように、それぞれが所属するコミュニティの中で生きていくわけですから、DBTで学び、培った知識とスキルを活かして、感情に圧倒されない自分になり、いつでも、自分らしくいられるようにするのに役立ちます。

DBT(弁証論的行動療法)|日本の歴史

 日本でも、精神疾患に対する心理療法として用いられるようになりましたが、取り扱っているクリニック等の数は多くない印象です。

 現在、病院(入院できる施設完備)からクリニック(診察のみ)に移行している医療施設が多いので、手厚いリハビリ、継続的なトレーニングが、難しくなっている背景もあると思います。

DBT(弁証論的行動療法)のこれまで まとめ

 DBTは、アメリカでボーダーラインパーソナリティ障害当事者だった臨床心理学者のリネハンによって改良され、日本にも導入されました。

DBTは現在でも、世界中のメンタルヘルス分野で広く使われています。

 

 具体例

 

 

 友人との会話が口論になり、それが体調を崩すトリガーになってしまったとします。
もしかしたら、衝動的なリストカットやオーバードーズに及んでしまったかもしれません。
まず、どんな感情を、どれくらいの大きさで感じたかを考えます。

体調が悪いと

「全部、自分が悪いんじゃないか?」

「全部、相手のせいじゃないか?」等

つい、話が極端になりがちですが、とにかく第三者的に見てみます。

 

 その上で、客観的に見ても、友人の話の内容や言い方にも問題があったかも?ということになれば、

関係性が壊れるような言い方ではなく、でも、

「それをこれからはやらないでほしい」
「やめてもらいたい」

という気持ちが伝わるようなコミュニケーションをした方が、いいかもしれません。

(相手がやめてくれるかどうかは、また別の話として、ここでは置いておきます。)

 

 もし、自分の感情が(極端に)暴走してしまって、

  • 伝える代わりに、パニックになった。
  • 傷つきすぎて後から苦しくなった。
  • 途中で会話を放棄した

ケースバイケースではありますが、自分の感情がコントロールができるようになると、
感情的な口論にならずに、お互いに伝えたいことが伝わって、
関係が良好になるかもしれません。

 

もちろん、1つ1つ、個別にアセスメントする必要がありますが
もし、そのような反応が、ほかの人との会話の中でも起こるのなら
もしかすると、当事者側に修正できる部分があるのかもしれません。

これは、「当事者側が悪い」という意味ではなく、
「当事者サイドが修正したほうが、治療効果が出やすい」
「周囲の人が修正しても、変化するのに効果がでづらい」という意味での
言い回しです。

体調が悪い中で、自分の内側に変化を与えることは、本当に大変です。
経験した立場から言っても、
もう本当に、「生きてる自分を褒めたげて!」レベルの方は
たくさん、いらっしゃいます。

筆者としても、言い表すのに、本当に悩ましい部分です。。。

 

 

個人的な感想ですが、行動療法のワークのほとんどは
何が起きたのか、誰が悪いのかには、ほぼフォーカスしません。

同じことが目の前で起きても、すべての人の感じ方や考え方を起点に
違う行動を取り、元気でいられる人、体調崩す人両方がいますね。

行動療法を実践する当事者がどのように変わると
体調を崩さないのか、体調崩さずに居られるのかに焦点を当てます。

ワークを通して、普段は掘り下げない自分の感情や反応に気づき、
毎日の生活の中で、より良い方法を選べるようにワークを通して
練習して、体得していきます。

 

DBTと当時の自分

 

DBTと自分 当事者当時を振り返って

 当時の自分が、「感情的すぎる」「傷つきやすい」と言われていたことは、現在の自分でも少し心外で、まだ自分がリカバリーのプロセスの只中にあるのかなと思ったりします。

 ただ、境界性パーソナリティ障害の当事者であったリネハンが開発したDBTと、それを日本の精神医療、精神福祉の枠組みの中で、実践的なプログラムにするために取り組んでくださった専門職の皆様の熱意がもたらしてくれた効果は、今でも自分の中に息づいていると思います。

 それがなければ、ここまで生きていなかったという実感があるので、もっとその熱意と技術が多くの当事者の方に届き、自分を傷つけることなく、リカバリーのために、心置きなくゆっくり休めるようになって欲しいと切に願うばかりです。

 当事者が、焦燥感や罪悪感に焦がれることなく、ゆっくり休めることは、実は簡単なことではないです。毎日、長時間、横になっていても「休んでいる」けど「休まらさっていない」ということが多いです。それが長期間続くと、苦しい状況が永遠に終わらないのではないか?という閉塞感によって、ますます体調が悪くなっていきます。

サポーターも大変だ

 同時に、当事者を支えている家族や、支援者のメンタルヘルス、地域の医療機関が、どれだけの患者(人数)にリーチできるかにも関わることなので、当事者の行動療法だけでなく、福祉による環境の調整も望まれますが、当事者の家族、当事者、支援者のひとりという立場で現場にいた経験から、簡単ではないことも多々経験したので、語ること、そのものが難しい話でもあります。

 

 実際に実践してみた個人的な感想ですが、CBTは、自分自身の内側(自分を取り巻く世界に、自分がどう感じるのか?)にフォーカスする「自分:周り」なことが多く、DBTは他者との関わりの中での自分の中の感情の動きと、自分が外側に向ける振る舞い、「人間関係の輪の中にいる自分の内側(受け止め方そのものとそれに伴う感情派生)と外側(振舞い)」にフォーカスすることが多い印象でした。

また、マインドフルネスも呼吸法など、テクニカルに詳しく習えたのも印象的でした。

DBT(認知療法・認知行動療法)全体のまとめ

 

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